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MSSM法の臨床的治療効果の指標をつくるための基礎的研究。
セラピストが描く誘発線とクライエントが投影するモチーフとの関連性を検討している。大学生・大学院生18名を対象にMSSM法を半構造化面接法で実施した。またセラピストによる尖った誘発線とぐるぐるした誘発線に絵を投影した反応時間をt検定で比較した。その結果、尖った誘発線に、モチーフを投影するまでの時間が有意に長いことがわかった。その理由としてインタビューにおいて「尖った描線をみると、窮屈さや緊張感を感じる」と述べた調査対象者が66.7%と多くみられ、反応時間の長さは「窮屈さ」や「緊張感」があるのではないかという考察がなされている。
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症例:22歳、男性、大学生。1998年3月に慢性骨髄性白血病と診断されたが、2000年6月に急性転化し、骨髄移植を施行することとなった。移植前の心理検査では神経症傾向、自律神経失調症傾向、うつ状態と高い不安も認められ、また病棟担当医に対する不信感もみられた。患者の神経症傾向、不安が高かったため心理士がスクイグル・ゲームを用いて移植前より介入を行い、患者の治療意欲、病棟担当医との関係に改善がみられた。
内容分析カテゴリーの整備を究極の目的として、従来の研究者カテゴリー変数について文献的な検討を加えた。各研究者は概して類似したカテゴリーを設定し顕著な差は無い。概念規定も最も不統一なものは欲求圧力に類する変数である。主人公、結末の設定が最も多いが実証的な成果は少ない。比較的概念規定も一定し、臨床的・実験的成果のみられるのは、主題と主人公(物語)の感情度であり、対人関係分析も重要視される。分析カテゴリーの設定種類およびその範囲は、投影仮説に依存し、現状では大きく2類型に分けられる。
主人公中心仮説と、これに反対する立場の心理的環境反映仮説の2主流があるといえる。

藤田(2001)はTATの解釈のための情報分析枠(FIA)とその手順を提案している。情報分析枠の基本的な考え方はTATを「問題解決課題」としてみなし、またTATの“分析”と“解釈”を分けた点にある。この情報分析枠によって、分析手順は明確化され、かつ分析から解釈へとつなげるための根拠となる情報の抽出が容易となると言える。

分析は以下のような手順で行われる。①すべてのカードの物語を読む。②分析項目を設定し、表のような情報分析枠を作る。③各カードの物語ごとに各分析項目をチェックし、分析枠に記入する。④内容検討を行い、分析項目ごとに、多くのカードの物語に共通する特徴を要約情報として抽出する。同時に、各分析項目から引き出された共通する特徴から外れているカードを抽出する。それらの情報を検討し要約情報として抽出する。⑤要約情報をもとに、そこから可能性のある仮説を立てる。また、藤田は分析項目についても提案している。

情報分析枠を使用して、プロコトルの情報をある視点から整理することにより、初学者でも被験者の人格を推論するための根拠となる要約情報を得ることができ、また要約情報から立てられる多くの仮説の示す方向は、被験者の中核となる性格特徴等を示していることが多い藤田は言う。 


この論文の内容をより簡単にまとめたのが、以下の論文である。
藤田宗和 2002 情報分析枠(FIA)による解釈 臨床心理学 2(5) pp.650-655 金剛出版

荻原(2001)は物語言説のうちにみられる語り手と聞き手、読み手の役割に注目し、物語そのものを送り手と受け手によって分節化されたコミュニケーションとしてとらえ、物語のうちに存在するいくつかのレベル、「機能」、「行為」、「物語行為」をとりあげ、論じ、その意味を物語の指標分析の観点からとらえ、物語言説の構造分析を行った。この論文では、マレサイト族の「せき止めた水」、旧約聖書の創世記XXX23-33を物語の指標分析の説話例として用いている。 

物語の構造分析は(1)物語にあらわれる登場人物達の心理的、伝記的、性格的、社会的属性の分類。(2)登場人物達の機能の目録作成と分類。(3)行為の目録作成と分類、というおよそ三種の分析対象を含んでいると述べている。

北村は、ニューヨーク州西部地区において行われた。40人の対象者に対して、非構造的な対面聞き取り調査を行った。インタビューは一部を除き日本語で行われた。インタビュー目的は「在米日本人の外国生活に関する経験と意見」と説明され、質問項目の中心は対象者が日常生活において経験した「トラブル」の語りを詳細に聴取することにあった。調査対象のインタビュー(のトランスクリプト)から収集されたこの「トラブル・ナラティブ」に焦点を当てつつ、その他のセグメントを分析・解釈の背景として利用し、調査対象の語る「トラブル」に関する“物語”を分析した。
分析方法は、A・グレマスによって提唱された物語のモデルを使用した。グレマス記号論において、物語は単にひとつの文学ジャンルではなく、あらゆる言説・意味システムの基底的な組織原理とみなされている。
この分析によって、インタビューデータにおいて日の安に観察される物語タイプを同定し、それらの諸類型間の構造的関係を見つける。29のインタビュー・トランスクリプトから84のトラブル物語単位が取り出された。これらは17の物語類型に分類された。
またこれら物語の諸類型間の関係について検討した結果、ある類型は内的構造的に結びつき、あるいはヴァリアント物語とみなすことができる。物語類型間のシフトの傾向をみると、トラブルに対して「回避」を基本としている個人が、実際には関与を避けられない場合には「受容」することとなる。また、その結果、教訓を「学習」し、さらにそれを「戦略」的に用い、またトラブルを「予防」することへもつながるとし、物語シフトはトラブル解決に関わる人間行動のロジックを反映したものであるように思われると北村は言及した。
川上ら(2005)は、シンデレラ物語の23類話を分析し、構成要素を類似性に基づき再編し、モチーフ要素と超モチーフ要素として定義し、シンデレラ昔話のモチーフネットワークモデルを作成した。

類話生成システムは登場人物の初期設定とモチーフネットワークモデル、一般・物語規則からなる知識系と登場人物や構成要素を選択・決定するワークモジュールからなる認知的モデルである。
類話生成システムが生成した10の物語について、分析を行った。分析は、物語群が互いに類話であること、物語群がシンデレラ物語の類話であること、物語の独自性についての三つの観点から行った。その結果、類話生成モデルが生成した10の物語はシンデレラ物語に共通して含まれるモチーフ要素を、オリジナルのシンデレラ類話と同程度に含んでいることから、シンデレラ物語の核となる構造を持った物語と考えることが出来る。

類話生成タスクは、シンデレラ物語の範疇から逸脱することなく、予定した筋を辿るようなシンデレラ類話を生成することが可能となった。


本研究で示したモチーフネットワークの手法では、各構造の手法と同じく文レベルの類似に基づく局所的類似性がモチーフ要素に定義され、同時にその前後に発生した構成要素と関連付けられている。また物語構造全体は構成要素配列で表現され、物語全体の類似性はは構成要素配列の類似性によって示されている。

本論文では物語要素の類似性を考察し、類似性のある物語要素をモチーフ要素とすることにより、複数の物語構造間の類似性を表現する手法を提案した。またモチーフネットワークモデルはモチーフ要素によって複数の物語の物語構造を統合的に表現し、類話群の全体的な類似性を表現することに成功した。モチーフネットワークモデルと構成要素の先手区を統制する昔話規則データベースを用いて、シンデレラ昔話の類話を生成した。人間の物語行為の一部である類話生成をシミュレートすることができた。
TAT反応についての、刺激認知的側面、物語構成的側面、物語り内容的側面にわたる、HenryやTomkinsの考えなどを参考とした新しい分析・解釈試案を作成し、非行少年からとりだした三つの性格類型との対応、精神分裂病患者にみられる記述反応についての検討など、探索的研究を試みた。
刺激認知的側面については、図版ごとの絵の部分(D,d,Dd)の認知・省略・歪曲など、物語構成的側面については、明細化・場面構成・心理的内容附与・時間的広がりなど、物語内容的側面については、領域・心理的機能の水準・心理的方向性などが吟味され、パラノイド的、精神衰弱敵、精神的未分化などの特徴が取り出されたし、記述反応のありかたが分裂病症状群と対応を示すことがわかった。(抄録)

「コーパス」とは「言語分析のための言語資料の集積」であるが、最近はコンピュータにより分析できる「コンピュータコーパス」「電子コーパス」の意味に用いられるのが普通である。

 本論では、英語解析ソフトを用いて「特殊目的コーパス」(大統領や首相の演説、英字新聞のスポーツ記事)と「汎用コーパス」(BNC)について、語の意味の比較分析を行う。私たちが実際に演説を聞いたり、記事を読んだりして受ける印象や解釈と、言語解析ソフトによる解析結果は同じ傾向なのかを調べる。

使用ソフトWordSmith Tools ver.3.0での語彙分析。
使用テキスト
2002年のブッシュ演説と同時期の小泉元首相演説

ブッシュ演説のキーワードourとterror(我々とテロ)
小泉演説のキーワードmeasures(対策)

マスコミでもしばしば指摘される我々(善)対敵(悪)の二元論を数字で証明できる。
対策を講じるといった、具体性に欠ける日本の演説が垣間見れる。

このように、語の分析ソフトは、私たちの直感を裏付ける。

次に、Wmatrixで、意味分析。
ブッシュ演説においては、「代名詞」「地名」を除き、アメリカが紛争にかかわっていることを示唆する意味群が抽出された。
小泉演説においては、「改革」「変化」などおなじみの小泉流を正しく捕らえている。

コーパス解析ソフトによる語や意味の解析結果の多くは、われわれが実際に聞いたり読んだりして受ける印象と相反しない。


スポーツ記事(Daily Yomiuriのスポーツ記事)と比較対象としてBNC(British National Corpus)を用いて、Wmatrixで解析を行う。
BNCと比較すると、当然のことながら意味う分析で「スポーツ」が抽出され、また試合結果に関する勝ち負けを表す語が多いということも、スポーツ記事の特徴として見られた。また、ゴルフ記事での語彙分析の結果、her、sheという語が多く、女性が他のスポーツ記事に比較し多く報じられていることがわかった。


直感を証明することに意義があり、また普通に読んでいるときには意識しない特徴的な語や意味分野に気づくことは、時として大きな意味を持つこととなる。

老松ら(2003)の事例の、14歳男子についての論説。

モチベーションがやや低く他の方法にのってこない患者でも、比較的容易に導入できる。
MSSMの治癒力のありか
①転移・逆転移を意識化しやすくする。あるいはそれらをより治療的な方向に転ずる可能性もある。
②過度の対抗に対する守りを備えているので、適応範囲が広い。
③特殊な意識状態(夢など)を要さずに、能動的創造(active imagination;Jung,C.G)に類した、内なる治療者イメージとの対話を可能とする。
④施行の手続きそのものが我が国の神話の時間の様態のアナロジーとなり得るので、日本人の想像的自我(whenと問う想像の原理;Hillman,J)をより自由かつ十分に機能させるのに適している。

89名3クラスの高校生にコラージュ体験授業を実施し、非体験群78名2クラスと比較検討した。両群とも授業の前後に、自己肯定度インベントリーと、日本版STAIを実施し、t検定、ウィイルソン符号付き順位和検定を行った。コラージュ体験授業を受けた生徒は、自己肯定度の得点が有意に高くなり、状態不安得点も有意に低くなった。これは幾重もの自己決定を伴う、自由な表現行程と、自己の作品を完成した達成感によると考えられる。

自己にしまい込んでいた精神的ストレスなどを、白紙の画用紙上という枠はあるものの、その枠内において、自由に表現できる機会を与えられたため、自分の中に背負っていた精神的な重荷を少し軽く出来た

医科系看護系大学生および医療従事者19名(男性7名、女性12名、平均年齢21.4歳)に集団コラージュを実施した。手続きはPOMS記入、バウムテストをコラージュ実施前に行い、その後3~4人のグループに分かれて、「お年寄り」をテーマに集団コラージュを制作した。出来上がった作品の発表をした後、再びPOMS、バウムテストを実施し、またアンケートに記入をしてもらった。
POMSの結果から、集団コラージュ制作には「緊張-不安」「抑うつ-落込み」「怒り-敵意」「疲労」「混乱」が低下し、「活気」が高くなり、心身のストレス解消、メンタルヘルスへの好影響が示唆された。バウムテストから対人関係における積極性の変化、精神的生動の活性化、自己拡大、自己主張などが示唆された。またアンケートから、集団コラージュ製作者はイメージを媒介として自己理解、他者理解を行っていることが明らかになった。また、集団コラージュの製作過程は、社会心理学的見地から、導入期・制作期・定着期の三期に分かれ、制作期における背策段階は臨床心理学的見地から、イメージの放出・他者とのイメージの共有・自我の変容と拡大の三段階に分かれることが示された。
コラージュ制作において、ポジティブ体験をしたものとそのような体験が弱いものとの間にどのような違いがあるかを検討した。両者のコラージュ制作前後の気分変容とコラージュ作品に見る。 大学生・大学院生・専門学校生30名(男女各15名、平均年齢21.70歳) 多面的感情状態尺度(短縮版)に回答を求め、その後、時間を指定せずにコラージュ制作をしてもらった。コラージュ制作後、再度多面的感情状態尺度(短縮版)、そしてコラージュ体験尺度に回答を求めた。コラージュ体験尺度は、予備調査と先行研究からの項目収集により、独自に作成された。 コラージュ体験の領域別に得点を集計し、中央値を求め、それよりも得点が高いものをH群、低いものをL群とした。コラージュ体験のありようにかかわらず、「抑うつ・不安」「驚愕」「驚愕」は有意に低下するが、「倦怠」と「集中」はコラージュ体験のありようによって変容に違いが見られた。また、「活動快」は全体的には変容せず、コラージュ体験のありようによる変容の違いが明確である。
大学生・大学院生男子26名を対象として、音楽聴取前後にPOMSを実施した。「活気」以外はすべて有意に低下した。 また、高橋の手元にあった女子大学生23名分のデータを用い、性差による影響の違いについて検討した。音楽が人間の気分に与える影響について、POMSを用いて測定した範囲内においては、変化の方向性は同じだが、男性よりも女性のほうが変化が大きいといえる。
境界性人格障害をはじめとする人格障害者は他者を感じることのできない寂しさを自分の万能感に満ちた空想で埋め、相手から期待される役割を意識して演じるという彼らの病的な対人関係をそのまま治療構造に取り込み、物語を作り演じるという治療集団として継続させることを可能にした。

入院中の人格障害と診断された者のべ12名による「ディレクターズ・グループ」によって29回のセッションが行われた。セッションは一人が即興で物語の始まりを作り、それを受け全員が物語を続けていき、最後の一人は結末を作る。最初の一人が物語にタイトルをつける。この人がディレクターとなり、芝居が演じられ、その後シェアリングが行われる。
ほとんどの参加者がほかの治療活動には安定して参加できてはいなかったが、ディレクターズ・グループに参加後のメンバーは入院中ほとんどグループを休むことは無く、退院間際には他に治療グループにも参加できるようになっていた。

その参加者の一人、回避性人格障害の23歳男性についての症例が紹介されている。自虐的で空虚な自己と、幼児的万能感に満ちた誇大的な自己とが同居しており、その矛盾を空想的な自己像で補っていると推察された。彼は入院中の12回、セッションに参加し、その間は欠席は無かった。
どんなに破壊的な表現であっても、グループの中では物語という構造に吸収される。
このグループで創造される物語は、破壊的、自虐的であっても、空想的な自己を安全な形で保証し守るものであるという安心感から、彼の空想は形を変えていった。


グループで作られる物語と参加者との関係として、作られる物語のキャラクターにメンバーがそれぞれが強く同一化するという関係が見られた。そのキャラクターをメンバー同士が支えることにより、中断を防ぐことができた。空想を創造性として保証することで、空想は空想として遊ぶことができるようになっていった。
入院中の患者41名(男性20名、女性21名)を対象に、絵本の読み聞かせを行い、その前後に担当ナースが患者の様子から判断して評定を行った。調査はロージァスの7種類のストランズのうちから「感情と個人的意味づけ(FPM)」「自己の伝達(SELF)」「関係のしかた(REL)」について七段階での評定を基準とした。また質的な資料を得るための項目も用意をした。

Wilcoxonの検定(サイン・ランク)とSpearmanの順位相関によって推計した結果、患者全体については3つのストランズの改善が有意に認められた。しかし、女性患者についてはFPMで有意相関は見られなかった。ナースのRELに有意な改善が見られたが、有意相関が認められなかった。
ナースが患者のベット・サイドで絵本を読み、患者はそれを目で追いながら話に耳を傾けている状況は、絵本の読み聞かせ以外のコミュニカティブな要素があり、患者-ナース間の日常会話以上のコミュニケーションが創造される。絵本はその小道具としての意味があると考えられる。
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