荻原(2001)は物語言説のうちにみられる語り手と聞き手、読み手の役割に注目し、物語そのものを送り手と受け手によって分節化されたコミュニケーションとしてとらえ、物語のうちに存在するいくつかのレベル、「機能」、「行為」、「物語行為」をとりあげ、論じ、その意味を物語の指標分析の観点からとらえ、物語言説の構造分析を行った。この論文では、マレサイト族の「せき止めた水」、旧約聖書の創世記XXX23-33を物語の指標分析の説話例として用いている。
物語の構造分析は(1)物語にあらわれる登場人物達の心理的、伝記的、性格的、社会的属性の分類。(2)登場人物達の機能の目録作成と分類。(3)行為の目録作成と分類、というおよそ三種の分析対象を含んでいると述べている。