小説家で、発達・教育心理学の研究者でもある著者の息子の話。
彼女は、3人の子どもが居る。
長男のマナト、次男のカイト、末子で長女のコトコ。
タイトルにある、自閉症の子はカイトくんである。
自閉症児を子どもにもちながら、また次の子どもを生むということに、スゴイ勇気だと感じたが、それは結局は「何人こどもを欲しいか」という問題だと書かれていて、納得した。
タイトルを見て、スゴイ感情移入して読んで…!!という本なのかと思ったが、そうではなかった。
小説家としての文章と、研究者としての文章が混在していると思われるが、客観的・具体的にこういうことがたいへんで、こういう体制が整っていると良いなというかなり建設的な内容になっていると思う。
この著者、本人でも言っているけれど、小説家なだけあって、ただの優しいお母さんではない。
偏見を持つ人や意地悪な人の話もサラっと出しながらも「こういう体裁をとっているから書けない」こともあるということだ。そういう発言にいろいろと考えさせてくれることもあるし、著者にとっては「もう! こんなやつらもいるんだよ!」という叫びなんだろう。
基本的には、頭を低くして、味方を多くつくり、敵は作らないように。
それでも、難のある人は敬して遠ざけるなど、障害児のいる親に限らず、普遍的に通じる社会生活のノウハウを語っている。
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