自然に囲まれた大学の中で起こる、動物達との日々を描いたエッセイ。
私にとって信じられないことであるが、動物が大好きな著者。
表題となっている巨大コウモリ事件では、学生から校舎内を巨大なコウモリが飛んでいるという報せを受けた著者は、
「巨大なコウモリが侵入したか。…………すばらしい。」
認知心理学の時間に噴き出した原因はこの文体だった。
蛇に指を呑まれても、貴重な体験ができたと書いている。
「指が搾り出される感触も味わえた。」
著者は、動物に惹かれる原因を生物学者E・O・ウィルソンの提唱した「バイオフィリア」という言葉を用いて説明している。
また、「脳のクセ」という言い方をしているが、認知的なことにも話を膨らませている。ほら、認知心理学ちゃんと勉強してるよ!
ただ、動物って可愛いよね。守らなきゃいけないよね。というともすれば偽善的な内容ではなく、動物たちの生態を元にした著者の動物たちとの関わり方や、専門領域の話など、軽い文体でありながら、要所要所に著者の知識、分析力、観察力の豊富さを感じられる本となっている。