最近では来談する学生たちに絵画や箱庭を勧めても、なかなか応じてくれなくなった。苦手意識が強いとか、評価を恐れるというだけでなく、イメージが湧かないらしいのである。たしかに、授業中も、一昔前ならノートに退屈しのぎの落書きのひとつもしていたところだが、ここ1,2年の間に携帯メールの送受信に取って代わられてしまった。
芸術療法における言語の果たす役割
第1に、イメージを自分の記憶のや意識のなかに、経験として定着させるために(直感像保持者でない限り、言葉にして頭の中で半数することによってようやく長期記憶化できる)。第2に、イメージを他者に伝え、最大限共有するために(同じ絵を見ても、クライエントとセラピストが受け取るメッセージは相当に違う場合があるが、そのずれを修正できる)。
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