永井は青年期の発達課題と箱庭表現の特徴と箱庭制作前後の気分変化の二つのテーマについて、検討している。箱庭制作前後の気分変化についてでは、大学生65名(男25名、女40名)に箱庭制作を依頼し、その前後に質問紙を施行した。
質問紙は60の修飾語に5件法で評定した。
まず、気分を表す修飾語の因子分析を行なった。「不満足感」「活動性」「集中力のなさ」「ゆとり」の4つと決定した。それぞれの因子の前後の因子得点に差について対応のあるt検定を行なった。その結果不満足は減少し、活動性と集中力が上昇していることが解った。箱庭制作には制作者の気分をポジティブな方向に変化させるようなカタルシス効果があることが解る。ゆとりについて有意な変化が見られなかったのは、箱庭制作では自分の内面に集中するために周囲に対するゆとりには変化が見られないと考えられる。
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