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この論文で、岸本はdouble MSSM(d-MSSM)というものを紹介している。これは、岸本の創案である。
岸本は治療者と患者が同時に一枚ずつ紙を持ち、同時にグルグル描きを行い、それを交換して同時に投影する、という方法を臨床に取り入れd-MSSMとめいめいした。
診察の中で一枚法で行うと、テストとして受け取られる可能性があるが、2枚でやれば対等に紙面と向き合えると感じた。また、グルグル描きをしてから投影が見つかるまでの時間に差があるため、非言語的な駆け引きがなされる。

2枚のA4のケント紙(あるいは画用紙)、サインペン、色鉛筆
それぞれが自分の画用紙に枠付けを行い、それぞれ5つに区分けする。
ひとコマ選び、物語メモ用のコマを残しておく。そして、グルグル描きを行う。その後、互いに紙を交換する。
これを行うと、物語メモ用のコマが残った状態で、自分が枠付けした画用紙が手元に残ることとなる。
所要時間約30分

事例
神経性食欲不振の14歳女性。
両親・弟の四人が俗。母は病気で入院中。父は事務所経営。
初回面接
祖母とともに来室、本人はほとんど無言で祖母が答える。祖母に席をはずしてもらうも、ほとんど発語無し。
バウムテストと風景構成法を行う。絵を描くことはそれほど嫌いではなさそうなので、描画を適用していくことにする。
二回目の面接からd-MSSMに誘う。
初診から二ヶ月後の第九回面接:d-MSSMでは、2番目の投影が二人とも人だった、またストーリーも散歩という共通のテーマで一致した。
この回はひとつの転換点ともいえる。髪を切ったのもここでなんらかの変化が生じていることをうかがわせる。箱庭や描画では転回点で曼荼羅表現が見られることが指摘されているが、この偶然の一致も、それに相応するような布置のひとつと見ることができるかもしれない。


5分割の意味
筆者の面接時間が30分という枠組みで設定されているため。
自分が印をつけたところに物語を書けるため。
割り切れない数字であるため、分割の仕方に個性が出る。心的なエネルギーを注ぐ必要があり、このようなちょっとしたプレッシャーが実は治療へのモメントとなるのではないかと考えられる。

見立て
①分割の仕方 ②グルグル描きの仕方 ③投影ができるかどうか ④物語がつくれるかどうか ⑤投影されたアイテムや物語の内容
番号が若いところで止まるほど病態水準が深い


グルグル描きをしてから投影が見つかるまでの時間に差があることで、その差を埋めるために、以前に行ったスクリブルのネタで乗り切るという選択肢ができる。これは多少のプレッシャーは手持ちの駒で切り抜けることができるような布石となり得る。


治療者側の物語。
相手の様子を観察するというよりは、それぞれが自分の課題に取り組んで、できたものを交換する形になるので、実施中は、相手のことは気配で察知しながら自分の課題に取り組むことになる。視線を一身に浴びないことにより、侵襲を受けない形ですすめられる。
また、治療者も物語をつくることで、治療者も守られるのではないか。

投影
描画というと、描き手の内的な世界を表現したものと捉えられることが多いし、そのような側面も確かにあるが、その反対方向のベクトル、つまり、外の世界からの働きかけに応じて形を与えるという側面もあったのではないか。



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