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大槻(2000)は、強迫性障害で不潔強迫のある28歳の女性にMSSM法を適用し、その経過を「忘れておく」ということについて考察している。不潔強迫のため、実母や祖母に家事を任せきりであることに、問題を感じておらず、他者を強迫状態に巻き込んでいる。そのため、薬物治療では限界があると考えられたため、診察に加え面接を開始した。面接で、症状のみに焦点をあてる面接は、クライエントの意識をより一層、症状に集中させ、症状を強化する方向に働くことが危惧されたため、描画(樹木画)を取り入れることとなる。樹木画では、クライエントの自己像を映し出し、それをもとにした面接では筆者がクライエントの直すべき点を指摘するかたちになっていたため、その関係を変え、症状や治療から意識をそらすためにMSSMを導入した。樹木画では以前の樹木画と比較を語っていたが、MSSMでは内容を比較する話は出なかった。
強迫性障害では「忘れておく」能力が欠如し、症状に意識を集中するほど、その症状に対する感覚は鋭敏となり、症状に対して感じる苦痛は増大する。症状にとらわれ「忘れておく」ことのできなさが、病理の根底にあると筆者は考えている。また、筆者は夢とMSSMを絡めて、夢もMSSMも複数のとりとめのないイメージを統合させており、MSSMは目覚めた状態において、治療者と患者の共同で見る夢ともいえるかもしれないと述べている。また、とりとめのないイメージを統合したからといってそのとりとめのなさは存在する。その曖昧なものを受け入れられるようになったということが、治療的に効果があったと述べている。面接が進み、クライエントは「調子の悪いときは、診察室で症状のことを話して、聞いてもらうと楽になったけれど、今はむしろ、話すと逆に症状に考えが集中して、つらくなってしまう」と述べた。その後、通常に診察に切り替えている。
 MSSMは、その遊び的側面のほかに、良質な夢と類似の働きをもつ。患者に「忘れておく」能力を賦与する。これが、本症例において、MSSMが治療的に作用した理由と筆者は考えている。
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